保険証なしで病院の診察を受けたことはありますか?
ほとんどの場合は、病院を受診する時は保険証を持参します。
しかし、急な病気や怪我で保険証を持ってきていなかったり、就職・転職したばかりで、まだ保険証が手元に届いていない場合もあります。
中には保険証自体を持っていないという方もいらっしゃいます。
様々な理由から、保険証がない状態で病院にかかるケースはわりと多くあります。
今回は、保険証無しで病院に行ったらどうなるのか? 保険証が無い状態で診察されたら費用はどうなるのか? 保険証がない時はあとから病院に見せたらいいのか?について、医療事務をしている私がくわしく綴って行きます。
病院には保険証無しで行ったらどうなる?
保険証なしで病院に行った場合、診察を断られることはありません。
まずは保険証が今手元にない旨を受付に伝えましょう。
忘れた、切り替え中で手元にない等きちんと理由を伝えれば通常と同じように受診が可能です。
しかし、中には保険証がない理由によっては「トラブルの元」と解釈され、受診を断る医療機関もありますので注意が必要です。
病院で診てもらって保険証がない時の費用はどうなる?
保険証がない場合は、一旦全額自己負担で診療費を支払う必要があります。
通常保険証があれば自己負担額は3割で済みますが、保険証がない場合、ほとんどの医療機関で全額自己負担の金額を請求されると思って下さい。
たとえば、本来保険証があれば3000円で済む窓口での支払いが、全額自己負担となると10割ですので、1万円の支払いになります。
そう考えると、保険証は本当にありがたいものなのです。
受付で、「今日は保険証を忘れた」と言われても、その方が初めてその医療機関を受診された場合、本当にその方が有効期限内の保険証を持っている人なのかどうか、確認する手段がないのです。
そのため、やはり一旦全額負担していただくしか方法がありません。
かかりつけの病院であったりすれば、大目に見てくれるところもあるかもしれませんが、初診でかかった病院であればほぼ100%、全額負担をお願いされると思っておいたほうがよいでしょう。
保険証がない場合はあとから病院に見せたらいい?
保険証がない場合は、一旦全額お支払いいただいて、後日保険証を持参していただいた時に多く預かっていた分の差額を返金します。
基本的に医療機関では、定期的に来られている患者さんがたまたま今日は保険証を忘れた、という場合でも全額自己負担をお願いしています。
とは言っても、私が勤めている医療機関ではいつも来られる患者さんが保険証を忘れた、という場合は次回は必ず持ってきてくださいね、今回だけは保険診療扱いしますよ、と柔軟に対応することが多いです。
もし可能であれば、当月内に保険証の持参をお願いすることもあります。
ちなみに病院では保険証は月に1回必ず確認することが義務づけられています。
調剤薬局では来局のたびに提示するようになっています。
ちなみに、保険証を忘れて全額自己負担で支払った場合、たいていの医療機関では保険証を提示すれば差額分の返金に応じてくれますが、実は法律上では返金の義務はありません。
ですからもしかかった医療機関で「差額の返金には応じません」と言われてもそれは違法行為ではありませんので、返金に対応している医療機関は当たり前ではなく、親切心で返金に応じているということです。
本来返金の手続きをする場合、ご自身が加入している保険証の組合を通じて返金の手続きをする必要があります。
その場合、領収証・診療明細(薬局ならば調剤明細)など受診の履歴となるものの提出が必要になりますので紛失しないように大切に保管しておきましょう。
その他必要な提出書類等が組合ごとに異なることもあるので職場の経理担当・もしくは保健組合に直接問い合わせましょう。
還付には1ヶ月以上かかることがありますのでその点も頭に入れておいてくださいね。
まとめ
基本的に、手元に保険証がない場合での医療機関への受診は全額実費と思っておいて間違いはありません。
実費で負担した分は後日ご自身で加入している保険証の組合に還付の手続きをすることで返金がありますので、会社の経理の方などにご確認をお願いします。
医療機関で返金に応じているのはあくまでも医療機関の親切心から来るものであって、当たり前ではありませんのでご理解下さい。
また、保険証の提示についても誤解されている方が大変多いのです。
受付で保険証の提示を求めると、大声で怒鳴ったりし始める患者さんがいらっしゃるので本当に困ります。
「個人情報をそう簡単に見せるわけにはいかない」とか「何の権利があって見せろと言うのか」など・・・。
いえいえ、決してそういうことではなく、保険証がないと保険診療ができないのですよ、とお伝えするのですがなかなか手ごわい患者さんもいらっしゃいます。
医療機関での保険証の提示は、任意ではありません。義務です。
これを怠るということは保険診療ができないので、当然全額実費となります。
あらかじめ受診がわかっている時は、必ず保険証を持参して下さいね。