家族が人工呼吸器をつけるかつけないかの選択に迫られたら、あなたならどうしますか?
今年の1月に父の容態が急変しまして、もしも…の時に備えて、延命治療の有無を病院から求められました。
ずっと入院することを前提に、当時僕の考えたこと、思ったことを書いていこうと思います。
同じ境遇にいる人の、判断の材料をしていただければ幸いです。
人工呼吸器をつけるかつけないか
僕の父は、今思えば入院中に誤嚥性肺炎を起こしていたんでしょう。
お世話になっていた病院で、誰も知らないうちに転倒し、急性硬膜下血種になりました。
命はなんとか助かったんですが、首から下がほとんど動かせない状態で鼻から経管で栄養を入れてたんです。
肺炎で高熱が出たために座薬を使ったそうなのですが、座薬の副作用で上の血圧が50まで落ちまして、病院から来てくれと呼ばれました。
主治医からは「血圧が落ちたので"イノバン"という強心剤で血圧を改善させようと思うけど、心房細動を持っているしおそらく心筋梗塞を起こしたこともあるし、心臓が耐えられるかわからない。もしものとき、延命治療はどこまでする?」という話をされましてね。
この時言われた延命治療とは、心臓が止まった場合に心臓マッサージと人工呼吸器装着をどうする?って意味だったんですけどね。
父とはずっと仲が悪かったんですが、メシを食わせて育ててくれた恩もありますし、「もしもの場合は人工呼吸器を装着してください」とお願いしました。
でも帰り道、自分の判断がそれでよかったのか、急に怖くなってきて悩みだしましたね。
本人の体への負担は? 人工呼吸器をつけるのにどれくらい費用がかかるのか? 高額医療限度額認定書の対象にはなるのか?
主治医にも看護師にも聞かず自分の感情だけで装着を決めてよかったのか?
などなど…
数日、夜も眠れなくなるほど悩んでしまいまして、最後に病院の医療ソーシャルワーカーさんに僕の悩み諸々を相談して、「人工呼吸器はつけず心臓マッサージでする」ということを決め、看護師さんに伝えました。
装着しないと決めた理由は、僕が住む金沢市では転院後に人工呼吸器装着の患者をケアできる病院が一つしか無いこと、その病院が数年先まで予約待ちなこと、両親の年金で病院代を捻出できないことだったんです。
父は急性硬膜下血腫の危険な状態で手術して、6週後に座薬の副作用で血圧が落ちました。
当時僕の会社の上司には、「人工呼吸器をつけるうんぬんより、硬膜下血腫で手術したこと自体がお金の無駄!」と鼻で笑われながら、吐き捨てられましたね。。
正直、ショックでした。
でも価値観は、人それぞれです。。
人工呼吸器をつけるかどうかも…
装着しないことを告げた看護師さんには「人工呼吸器をつけるのを選択することも、選択しないことも、息子さんの責任ではありませんよ。寿命というものがありますし…」と声をかけてもらいましたね。
慰めのための一言なのか、装着を拒否した人みんなに言っているのか、それはわかりません。
でも、、、僕が決めた"オヤジに人工呼吸器はつけない"という十字架は、一生僕の背中に背負い続けなければいけないな…と思いましたね。。。
人工呼吸器をつけることで家族の負担は?
ウチは、母が父の介護疲れで心臓を壊しているので、在宅介護は最初から頭にありませんでした。
どうしても病院などで看てもらうしかなかったので、僕は費用のことが心配になりましたね。
主治医や何人かの医師に人工呼吸器のことを聞いてみたのですが、人工呼吸器をつけられるとかなり苦しい状態が、亡くなるまで続くそうです。
しかも、強制的に生かす状態なので簡単には亡くならないと…
聞いた医師全員が、人工呼吸器はやめといたほうがいいよ…っていうオーラを出していたのはココだけの秘密です。
まぁ苦しそうな顔を見てると、こちらまで辛いですよね。。。
死んではいけないとされているワケありの人や、お金によっぽど余裕のある人でないと…という話を看護師さんから聞きました。
亡くなりそうな状態の患者を生かす…と言ったら失礼なんですが、日に日に痩せて行く状態を目の当たりにして、家族は精神的に苦痛になるそうです。
今の日本の法律だと、家族の同意があっても一度つけた人工呼吸器を外す事は殺人罪に問われます。。
まぁ実際は、もう少し余裕があって取りはずすことはできるのでしょうが、患者の家族と揉めるリスクや責任問題につながることから、医者は人工呼吸器を外してくれない場合が多いと思います。
父の主治医からも「外せない」と言われましたね。
本人がツラそうだから…病院代がかさんで大変だから…という理由でも、つけたら外せないわけです。。
病院という場所で看てもらうことを前提にしても、精神的なこと、費用的なこと、家族の負担は計り知れないですね。。。
人工呼吸器で延命した場合の費用は?
入院している場合ですが、医療ソーシャルワーカーに聞いた話では、医療費自体は市町村によって違うかもしれませんが、高額医療限度額認定書が使えるそうです。
なので、医療費のみで考えるとある限度額までしか払わなくて済みますね。
ただし、、、
人工呼吸器は大きな機械なので、スペースが必要なんだそうです。。。
相部屋では使用できないので、個室に入ることになるとのこと。
ということは、、、部屋代と言われる"差額ベッド代"が発生することになるんです。
一日に差額ベット代が3000円だとすると、月に90000円!!
一日7000円だとすると…
ここに食事代や医療費が加算されますし、ウチの場合は母の生活費も考えると人工呼吸器の装着は無理だなぁと思いましたね。。。
ちなみに、当時急性期の病院に入院していたのですが、長くても3か月をめどに転院を求められます。
180日を超える入院は、入院基本料の基本点数等の15%が健康保険から払われなくなるので、患者負担が増えます。
人工呼吸器をつけた患者を受け入れてくれる病院のベットが空くまで待つ場合は、更なる医療費の増額を考えておかないといけませんね。。。
当時の備忘録として書いた記事はこちらです。人工呼吸器をつけるか、亡くなったらどうしよう…とか考えながら書きましたね。。。
⇒人工呼吸器をつけるかつけないか。急性硬膜化血種で意識不明…手術
まとめ
血のつながった親だからこそ、延命治療について真剣に悩みます。
人工呼吸器をつけないと決めたことで、僕自身もモノの考え方が変化したように感じます。
死に向かっているオヤジのことは大事だけど、残っている母や僕にも生活がある!!って。
お金に余裕があれば…とか、本人は苦しんでいるけど本当に延命でいいのか…とか、、、未だに考えてしまいますけどね。
親のほうが自分より先に逝く確率は高いはず。
早いうちから、頭のすみっこに置いておくのがいいと思いますよ。
~2018年3月追記~
病と闘っていた父でしたが、先日力尽きて逝ってしまいました。
自分にまだできたことはなかったのか、なんともいえない気分のまま、後悔と共に振り返る日々が続きます。
最期は家族葬で、そっと旅立ちを見送りました。。。
ありがとうございました。