お盆の「迎え火」とは、8月13日(7月のところもあります)の夕方にご先祖様の霊をお迎えするため、玄関先などの野外で火を焚くことを言います。
この火を目印に「ご先祖様が道に迷うことなくこちらの世界に戻って来ることができる」とされています。
さて、この「迎え火」ですが、どんな風にするものなのでしょう?
しきたりや慣習など地域によっても多少違いがあるでしょうが、何時頃に迎え火をするものなのか、迎え火の作法、雨の場合どうしたらいいのかについて見ていきたいと思います。
お盆の迎え火は何時頃にしたらいい?
まずはお盆の迎え火の時間帯についてですが、こちらは「何時に必ず!!」という決まりはありません。
ただ、多くの地域では8月13日の夕方に行われているようです。
できれば家族や身内の方が揃ってご先祖様をお迎えできるのが一番望ましいです。
とはいうモノのご家庭でそれぞれ事情が異なりますので、家族の都合がつく時間帯にお迎えして下さい。
明るいうちに迎え火を焚いても特に問題はありませんよ~(*'▽')
「少しでもご先祖様に長く滞在していただきたい」という思いを込めて、迎え火は早い時間帯に、そして送り火は遅い時間帯に、という家もありますね。
お盆の迎え火の作法とは?
迎え火は、家の玄関先や門の前でご先祖様をお迎えするための火を焚くことです。
ご先祖様が道に迷わないように、目印として火を焚きます。
故人やご先祖様の霊は、焚いた火の煙に乗って家の中に迎え入れられるそうです。
焙烙(ほうろく)といわれる素焼きの平皿に、おがら(皮をむいた麻)を乗せて火をつけます。
※焙烙は仏壇店で、おがらはお花屋さんやスーパーで購入できます。
焙烙がない場合は、耐熱性の平皿があれば大丈夫です。
13日の午前中までに仏壇を綺麗にして盆棚の設置をしましょう。
盆棚にはお供え物を並べます。
きゅうりやなすに竹串がさしてある飾りを見たことはありませんか?
これは精霊馬と言い、きゅうりを馬に、なすを牛に見立てて作ります。
ご先祖様が馬に乗って早く家に戻ってこれるように、また帰りは牛に乗ってゆっくり帰るように(少しでも家族と長く過ごすためという思いが込められています)、という願いを込めて作られています。
なすの牛は重い荷物を乗せるため、という説もあります。
その後お墓参りに家族で出かけます。
お掃除も念入りに行って下さいね。
昔は、お墓参りに行ってそこでろうそくに灯した火を提灯に移して持ち帰っていました。
その火でご先祖様の霊を家路まで案内し、連れて帰っていたのです。
そして、玄関先で迎え火を焚き、ご先祖様の霊を家へ迎え入れるのが一連の流れでした。
現在は、お墓から家までが遠いご家庭が多く、お墓参りから火を持ち帰るのはなかなか困難です。
そのため、お墓参りを済ませて帰宅し、その後あらためて迎え火の準備をするという流れが一般的になりました。
焚いたおがらがすべて燃え終わり、火が消えてしまったら迎え火は終了です。
おがらは非常に燃えやすいので、火が広がらないように気をつけて下さい。
完全に消火するまで火の元から目を離さないように注意しましょう。
迎え火がどうしても出来ない場合もあるかもしれません。
そんな時はせめてお墓参りとお掃除、仏壇を清めてお供え物の準備だけはきちんとしましょう。
建物の関係で火の取り扱いが禁止されている地域もあります。
無理に迎え火をすることでトラブルになっては、ご先祖様も悲しむでしょう。
出来る範囲で、ご先祖様に感謝しご供養する気持ちがあれば、形式ばかりにとらわれる必要はありませんよ~!
お盆の迎え火の時に雨の場合は?
もし天候不順で迎え火が焚けない場合はどうしたらよいのでしょう?
よほどのどしゃぶりでもない限りは、できればお迎えの目印として迎え火を行いたいところです。
そんなに長い時間ではないので、玄関先でほんの少量のおがらを焚いてすぐに火を消すだけでもかまいません。
外での迎え火が難しいのであれば、玄関先で提灯を灯しておくだけでも大丈夫です。
明るく灯してご先祖様が道に迷わないようにしてあげて下さい。
まとめ
お盆と聞くと、「お盆休み」「連休」といったイメージが定着していますが、本来お盆は、ご先祖様の霊をお迎えし、供養をするという大切な風習なのですね。
普段なかなかお墓参りに行けないという方も、今年は時間を作ってご先祖様に日頃の感謝を伝えてみてはいかがでしょう?
ご先祖様が迷わずこちらへ戻ってこれるように、またゆっくりと過ごしていただいたあとは、安心してあちらの世界へ戻れるように、気持ちよく準備をしておきたいですね。